天使のはしご




不思議そうに虹を見ている彼に視線を落とし、左手を窓につけた。

窓についた5本の指からは、何も感じ取れなくて。

何も、伝わってこなくて。

もう、一度、虹を見た。



今度は、反対の目から、たった一滴の、涙が落ちた。



「消えた。なんだったんだろう?」

街から消えた半分だけの虹の終わりを見終えた彼は、私に視線を戻した。


(でも、綺麗だったね)

「うん。雨降ってないのに虹見れたから、なんか得した気分」

ははっ。と軽く笑う彼。






たった2滴の涙は、彼には届かずに、消えた。


(・・・後、半分)

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