天使のはしご




写真や今まで見てきた梯子とはあまりに違った。



分厚く黒く空一面に広がる積乱雲の切れ目から零れる光りは、まさに言葉通り『光柱』となって真っ暗な町に降り注いでいる。


少し夕日の色が混ざった光柱は金色に光り、本当に天使が舞い降りても誰も驚かないだろう。


「────・・・」


なんの言葉もでてこない。
かわりに溢れ出てくる涙は『光柱』の色に染まる。


「最後の願いも、叶った」


あまりの美しさからなのか、神々しさからなのか。

────涙が溢れ出てくる理由は、自分が一番知っている。
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