恋の六法全書～姫は王子のキスで～

第一章

完璧になりたい

　日曜夕方のアニメ。主人公は七人家族で暮らす、二十四歳の既婚女性。


　陽気で愉快で、おっちょこちょいなだけの女性だと思っていた。自分が独身の頃は。


　結婚し、同じ二十四歳の専業主婦という立場である現在、痛感した。彼女は実に良妻であったんだ。


　アニメを観てる限りでは、家事全般はなんなりとこなせるよう。裁縫も得意で、自分の家族に洋服も作ってあげている。加えて編み物も得意。


　私は裁縫は基本的なことならできるけど、洋裁はできない。興味本意でチャレンジした時、頭で考えてた以上に難しくて、たちまち挫折を覚えた。編み物ができないのもそれと同じ。


　それに彼女は妻として、夫を立てている。夫への感謝の気持ちを、常に忘れないでいる。


　そういう態度は、家庭のささやかな場面の中で表れていた。何か許可を求めたい時は「悪いんだけど」ど前置きを入れ、了承を得れば「ありがとう」ときちんと言う。


　結婚は現実だ。恋愛とは違う。理想ばかり追い求め、固執しても、仕方ない。


　だけど私は、できるだけ理想的な、完璧な妻になりたいと思っている。絵に描いたような結婚生活を送れば、心に幸せが宿る気がするから。


　そして彼と結婚をして本当に良かったという実感が欲しい。お互い恋愛感情もないまま、結婚をした二人なのだから……。