恋の六法全書~姫は王子のキスで~
「ごめんね。さっき求くんの部屋に入って、六法全書を借りちゃった。ちょっと、重し代わりにしてる」
求くんが部屋着に着替えた後、私は六法全書がリビングのテーブルにある理由を説明した。
「ああ、いいよ。必要だったらあげるし。それに載ってることは全部、丸暗記してるから」
「えー、本当に!? こんなに厚さがあるのに!? すごいね、さすがだね」
私は改めて、自分より遥かに優秀な頭脳を持つ求くんに尊敬の念を持った。彼は幼い頃から法律に関する本ばかり読んでいた上に努力家だったから、こんな風に軽々しく褒めるのは逆に失礼な気もするけど。
「……」
ハイテンションな私を前にしても、求くんは顔色一つ変えないでいる。