竜宮の御使い
1
次に目を覚ました時。そこは真っ白な世界だった。
わたし死んだの…?思わず手を動かそうとして走った激痛に自分がまだ生きている事を悟る。
『死ぬわけ無かろう。汝は我が選びし者。』
突然頭に響いた女性とも男性ともとれる不思議な声。
あなた誰?
声を出そうとしたがうまく出ず心の中で話しかける。
『我は龍神。この世界を司る神の一つ。』
龍神?なにそれ…。この世界って日本じゃないの?
『残念だが汝はあちらの世界ではすでに死んでしまっている。天に召される魂を我の願い
と力で大御神に頼みこちらの世界へ召喚した。』
…なんだそれ…。意味わからない。魂って…私やっぱり死んだの?
『今我が言っただろう?死の衝撃で頭がおかしくなったか。』
おかしくなってないっつーの。突然そんな事言われたら混乱すんでしょ?
…っていうか、私は向こうの世界で死んだ事になってるなら、どうして死んだの?あのトラックとの事故?
『汝の乗り物に居眠り運転していた乗り物が突っ込んだのだ。事故の衝撃で汝は即死。沢
山の人間たちが汝の死を嘆き悲しみ、荼毘に送った。』
…。
言葉が出なかった。自分の死が死んだら皆はどうする?今まで一度も考えた事などなかったが…実際に自分の死後を聞くと関わって来た沢山の人たちの顔が浮かび消えて行った。 目頭が震え涙が溜まるのが解る。でも、涙をぬぐおうにも手は動かない。
『だが、喜べ。汝にはこの世界で新しい人生を用意してある。』
…はい?なに?転生するの?今流行りの人生やり直しちゃいます的な?
『何だそれは?汝は今の年齢、思考のまま我の護る国に我の使いとして我に召喚されたのだ。』
すいません、よく話が解りません。
しんみりしていた気分が一気に吹っ飛び完全に涙も引っ込んだ。冷静になればなるほど今の状況が呑み込めない。
『ああ、あれだ。汝の世界の言葉を使うなら「龍宮の御使いとして異世界トリップしちゃいました!」というところだな。』
はぁぁあ?!なにそれ。っていうか、龍神様はそんな言葉どこで覚えたの?思いっきり中二病入ってるじゃん。
『汝の世界のことを少し学んでみた。ウィキペディアという者はなかなかの勤勉者よ。』
明らかに何かを間違っている龍神様の話。っていうかウィキペディアって龍神様も使えるの?ネット環境はどうなってるの?
ごちゃごちゃと考えていると突然、真っ白だった世界に影が差した。
な、なに?龍神様!私どうなるの?
急に不安になり声に助けを求める。しかし、帰って来たのは驚くほどのんきな声だった。
『心配はいらん。そろそろ汝の目覚めの時間だ。よいか、汝はもはや梶彩乃ではない。龍宮の御使い・アヤノだ。特別に我の加護を授けたから、新しい世界で成すべき事を思うままに成せ。そして幸せつかんでこいやぁ!』
やぁやぁ…と余韻を残して頭の声はきっぱり止まってしまった。
なんなの!?あの龍神。本当に神様?!私にどうしろって…いうのよ…。
突然白い世界に独りになって再び孤独が迫ってくる。そして、先ほどから影が横切る度に舞いあがる不安。次第にクリアになっていく意識。
どうしよう…。どうなるの?
考えあぐねているとゆっくりと目の前の白い世界に亀裂が入った。そしてその亀裂はみるみる間に広がり、その亀裂から2本の手が伸びて来る。
「がぼっっ!!?」
突然伸びて来た手に驚きもがいた瞬間、自分が温かなお湯の中に居る事に気がついた。今まで水など感じていなかったのに、とたんに呼吸が苦しくなる。
とにかく、外へ!ここからでないと…!!
とっさに目の前に伸びる2本の手をつかんだ。すると、2本の手は私がつかむのを待ってましたと言わんばかりに、グイっと強い力で亀裂の中へ引っ張られた。
わたし死んだの…?思わず手を動かそうとして走った激痛に自分がまだ生きている事を悟る。
『死ぬわけ無かろう。汝は我が選びし者。』
突然頭に響いた女性とも男性ともとれる不思議な声。
あなた誰?
声を出そうとしたがうまく出ず心の中で話しかける。
『我は龍神。この世界を司る神の一つ。』
龍神?なにそれ…。この世界って日本じゃないの?
『残念だが汝はあちらの世界ではすでに死んでしまっている。天に召される魂を我の願い
と力で大御神に頼みこちらの世界へ召喚した。』
…なんだそれ…。意味わからない。魂って…私やっぱり死んだの?
『今我が言っただろう?死の衝撃で頭がおかしくなったか。』
おかしくなってないっつーの。突然そんな事言われたら混乱すんでしょ?
…っていうか、私は向こうの世界で死んだ事になってるなら、どうして死んだの?あのトラックとの事故?
『汝の乗り物に居眠り運転していた乗り物が突っ込んだのだ。事故の衝撃で汝は即死。沢
山の人間たちが汝の死を嘆き悲しみ、荼毘に送った。』
…。
言葉が出なかった。自分の死が死んだら皆はどうする?今まで一度も考えた事などなかったが…実際に自分の死後を聞くと関わって来た沢山の人たちの顔が浮かび消えて行った。 目頭が震え涙が溜まるのが解る。でも、涙をぬぐおうにも手は動かない。
『だが、喜べ。汝にはこの世界で新しい人生を用意してある。』
…はい?なに?転生するの?今流行りの人生やり直しちゃいます的な?
『何だそれは?汝は今の年齢、思考のまま我の護る国に我の使いとして我に召喚されたのだ。』
すいません、よく話が解りません。
しんみりしていた気分が一気に吹っ飛び完全に涙も引っ込んだ。冷静になればなるほど今の状況が呑み込めない。
『ああ、あれだ。汝の世界の言葉を使うなら「龍宮の御使いとして異世界トリップしちゃいました!」というところだな。』
はぁぁあ?!なにそれ。っていうか、龍神様はそんな言葉どこで覚えたの?思いっきり中二病入ってるじゃん。
『汝の世界のことを少し学んでみた。ウィキペディアという者はなかなかの勤勉者よ。』
明らかに何かを間違っている龍神様の話。っていうかウィキペディアって龍神様も使えるの?ネット環境はどうなってるの?
ごちゃごちゃと考えていると突然、真っ白だった世界に影が差した。
な、なに?龍神様!私どうなるの?
急に不安になり声に助けを求める。しかし、帰って来たのは驚くほどのんきな声だった。
『心配はいらん。そろそろ汝の目覚めの時間だ。よいか、汝はもはや梶彩乃ではない。龍宮の御使い・アヤノだ。特別に我の加護を授けたから、新しい世界で成すべき事を思うままに成せ。そして幸せつかんでこいやぁ!』
やぁやぁ…と余韻を残して頭の声はきっぱり止まってしまった。
なんなの!?あの龍神。本当に神様?!私にどうしろって…いうのよ…。
突然白い世界に独りになって再び孤独が迫ってくる。そして、先ほどから影が横切る度に舞いあがる不安。次第にクリアになっていく意識。
どうしよう…。どうなるの?
考えあぐねているとゆっくりと目の前の白い世界に亀裂が入った。そしてその亀裂はみるみる間に広がり、その亀裂から2本の手が伸びて来る。
「がぼっっ!!?」
突然伸びて来た手に驚きもがいた瞬間、自分が温かなお湯の中に居る事に気がついた。今まで水など感じていなかったのに、とたんに呼吸が苦しくなる。
とにかく、外へ!ここからでないと…!!
とっさに目の前に伸びる2本の手をつかんだ。すると、2本の手は私がつかむのを待ってましたと言わんばかりに、グイっと強い力で亀裂の中へ引っ張られた。