我は阿呆なり!〜恋愛劣等生であれ〜
しかし、見つからない!
困り果てた僕はもうスーツケースを抱えて階段を下るより他に道はないことを悟り、ゆっくりとその鉛を抱き抱えた。
と同時に、背後から「はんぬっ」という謎めいた掛け声が聞こえた。
その瞬間、僕の隣を黒くて硬い物体が猛スピードで通過していった。
「がぐんごろんがっ」なる新しいオノマトペで表現せざるを得ない変な音を響かせながら、不規則に弧を描きながら、それは階段の下まで落ちていった。
幸い黒くて硬い物体は僕のスーツケースではなかった。が、人がいるにも関わらずスーツケースを突き落とすとは何事か。
僕が怒った顔をして振り向くとそこには、同じ高校の制服を着た小柄な女子が両手腰に当て、立っていた。長い髪をポニーテールで束ねており、それなりに整った顔立ちをしていて、何が楽しいのか口元には笑みを浮かべていた。しかし切れ長な目は、たった今落ちたスーツケースを凝視していた。
彼女は僕の方など見向きもしないで階段を駆け下り、倒れたスーツケースを起こしてそのまま立ち去っていった。
ちょっと待ちやがれ。
困り果てた僕はもうスーツケースを抱えて階段を下るより他に道はないことを悟り、ゆっくりとその鉛を抱き抱えた。
と同時に、背後から「はんぬっ」という謎めいた掛け声が聞こえた。
その瞬間、僕の隣を黒くて硬い物体が猛スピードで通過していった。
「がぐんごろんがっ」なる新しいオノマトペで表現せざるを得ない変な音を響かせながら、不規則に弧を描きながら、それは階段の下まで落ちていった。
幸い黒くて硬い物体は僕のスーツケースではなかった。が、人がいるにも関わらずスーツケースを突き落とすとは何事か。
僕が怒った顔をして振り向くとそこには、同じ高校の制服を着た小柄な女子が両手腰に当て、立っていた。長い髪をポニーテールで束ねており、それなりに整った顔立ちをしていて、何が楽しいのか口元には笑みを浮かべていた。しかし切れ長な目は、たった今落ちたスーツケースを凝視していた。
彼女は僕の方など見向きもしないで階段を駆け下り、倒れたスーツケースを起こしてそのまま立ち去っていった。
ちょっと待ちやがれ。