好きになっちゃダメな人。
――――
「美味しいねドーナツ。」
「ほんとに美味しーい!」
放課後、約束通り彩とドーナツ屋に来た。
「それより、拓海とすずはいつになったら付き合うの?」
「だーかーら、
佐野と私はそういうのじゃないのー。」
中1の頃から彩は佐野と私が付き合うの推し。
全っ然そういうのじゃないのに。
「えー、じゃあ、ちょっとでも
拓海のこと好きって思うことは?」
「そりゃ友達としては大好きだけどー。
そもそも恋愛的に好き!ってなった事
今まで一回もないし。」
私は今まで、“好き”って思ったことが一度もない。
もちろん付き合ったこともない。
告白されても、
なんか違うなーってなって
断っちゃう。
「私はお似合いだと思うんだけどな。
拓海とすず。」
「そういう彩はどうなの?」
「えー、彩は龍くん見てるだけで十分かな(笑)」
龍くんとの接点は佐野しかないし、
私もそんなに龍くんと仲いいわけじゃないから
なにもしてあげれない。