好きになっちゃダメな人。
画面には予想どうり、“佐野”と表示されてる。
めんどくさいなー、と思いつつ
通話のボタンを押す。
「―.....あ、もしもし....聞こ....る?」
後ろでガヤガヤうるさくてあんまり聞こえない。
まぁこれもいつものことだけど。
「おい、ちょっと静かにして。
.....ごめんごめん。すず聞いてる?」
佐野の怒鳴り声で一気に静かになる。
そして、その怒鳴り声で寝ぼけてた私も一気に目が覚めた。
「おーい、すずー。聞いてる?」
あ、“すず”は私のこと。
高野すず(たかの すず)、高校1年生。
「ん....。聞いてる。」
頭はもう起きてるけど、寝ぼけてうまく話せない。
「おはよすず。
佐野くんのモーニングコールです♡」
モーニングコールって......。
「ねぇ、佐野。
佐野って時計の見方わかる?」
「へ?わかるけど。」
「じゃあ今なーんじ?」
「4時11分!!」
自慢げに答える佐野のドヤ顔が想像出来て、
ちょっとふふってなった。