好きになっちゃダメな人。






いきなりふっと顔を上げた彼とぱっと目が合った。



ただ目が合っただけなのにドキドキいってる。



どうしよう。なんて話しかけよう。



覚えてるかな、私のこと。




「あ、昨日の。」



ふと彼が言った。



覚えててくれた。心臓がさらにドキドキする。



「はい。
昨日はありがとうございましたっ。」



「もう大丈夫?」



「大丈夫です。」



うるさい心臓。止まって。



「そっか。なら良かった。

今度から気をつけてね。」



私が頷くと、


じゃあバイバイって言って



手をひらひらさせながら去っていった。



動けない。心臓は相変わらずうるさい。



生まれて初めての感情にちょっとずつ染まっていってる気がした。




< 20 / 59 >

この作品をシェア

pagetop