好きになっちゃダメな人。
「すーずー。」
私の顔をのぞき込む彩。
「んー?」
「最近なんかあったの?
ずっとボケーってしてるし、
拓海も心配してたよ。 」
「んー、なんもないよ。」
さすがの彩にも、
“痴漢から助けてくれたまだ二回しかあってない人にもう一度会いたい ”
とは言えなかった。
自分でもおかしい、って自覚してるからかな。
「ほんとに大丈夫?」
「うん、大丈夫ありがとう。」
彩にも佐野にも心配かけて申し訳ない。
なんて名前なのかな。
何歳なのかな。
何してる人なのかな。
どうしたらまた会えるかな。
考えたってわかんないし、
もう会えないってわかってるけど
ちょっと期待してる自分もいたりする。