好きになっちゃダメな人。




走ってさっきの人を追いかけると、



ちょうど駅から出るところだった。




「あのーっ、待ってください。」



「はい?」



「これ、携帯忘れてました。」




「え、あ、ほんとだ。俺のだぁ〜。


ありがとう。」



「いえいえ。じゃあ。」



そう言って振り向こうとした時、


腕を引かれた。



「えっ?」



「わざわざ届けてくれたお礼しなくちゃ〜。」



男はニヤニヤしながらこっちを見てる。



なんか気持ち悪い。



「いや、大丈夫です。 」



「俺の気が済まないからさぁ〜。

ほら、あっちの自動販売機でジュース奢るよぉ〜。」



ここまで言ってくれてるのに


奢ってもらわないのもなんか悪いかな...。




「じゃあ、お言葉に甘えて。」



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