好きになっちゃダメな人。
2章
初めての感情
「.......なんかされた?」
声をだそうと思っても
声が出ない。
首を左右に振る。
「とりあえずここにいても危ないから。
立てる?歩ける?」
頷いて立とうとしたけど
震えてうまく立てない。
もう一度首を左右に振る。
「じゃあ、はい。おんぶして。
ちょっと恥ずかしいかもしれないけど
すぐだから。」
しゃがんでるヒーローの首に
腕を置く。
「掴まった?
落ちないようにちゃんと掴んで。」
そう言って歩き出した。
どこに行くのかわからない。
何が起こったかもわからない。
ただ今は何も考えずに
ヒーローの背中のぬくもりを感じた。