チョコレート×キャンディ
君の好きなとこ

「先輩、これ貰ってください!」

「よかったら食べてくれませんか?」

「桜井君、これ読んでください!」



校門前で、私と同じセーラー服を着た女の子達が、綺麗なラッピングに包まれた物を持っている。

その女の子達の真ん中に、一人だけ違う服で立っている人。

ピンと伸びた背筋で、首はやや下を向いて皆を見ている。


学ランを着て優しく微笑んでいる彼。


この日に彼のこの光景を見るのは、今年で3回目だ。

必ず女の子達の持つ物を、


「ありがとう」


と、彼は腕に運ぶ。


この日っていうのは、一番チョコレートが目につく日。


2月14日。


――必ずといっても、今まで私は1回しか見たことないんだけど。







< 1 / 99 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop