チョコレート×キャンディ
「男子が着替え終わった後に入るの、抵抗あるよね……」


「わかるそれ〜。加齢臭すんだよな!」


ぐるんと後ろを向くと、千香ちゃんに話したはずの言葉に反応する桜井君。

驚いている私とドアの間をすり抜けて、いつものように男子と喋りだす。


「男の体育の後とか最悪」


「いや草太も男じゃん!」


「俺は加齢臭っつか、カレー臭?」


「意味わかんねーし、そっちのが嫌じゃね?」


桜井君の席にどんどん男子が寄ってきて、女子はその中央の集まりを見ている。




「おーい席着けー。チャイム鳴っただろー?」


ガラッとドアを開けて入ってきた先生の声を聞き、皆席に座りだす。


誰と隣になるかな?

仲良い子と近くになれるかな?


なんて、皆と同じに私もドキドキ。

先生はしわしわなズボンのポケットから、よれよれの紙を出して、教卓の上に置いた。


「んじゃ右の列から、男子はこっち、女子はこっちの紙取ってけな」


黒板に、机の位置と番号を書き始めた先生。




< 29 / 99 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop