チョコレート×キャンディ
キーンコーン
教室を出る合図のチャイム。
皆が友達としゃべっていても、私は大急ぎでバッグを肩にかけた。
「里美、委員会だっけ……。頑張って!」
「うん。千香ちゃんバイバイ!」
私と同じテニス部に入るつもりの千香ちゃんは、ラケットを抱えだす。
私は早く委員会を終わらせて、部活見学するつもりだけど、決まり文句のバイバイがつい出てしまった。
私は千香ちゃんより1つサイズの小さいラケットを掴んで、1番に教室のドアを開けた。
すぐ近くにある階段に足をかけ、委員会が開かれる2年生の教室に向かって上ろうとした。
「草太じゃあなー」
聞き覚えのない男子の声が聞こえる。
声がした方向はこことは真逆。
2年生の教室に行くにはかなり遠回りになる。
なんでだろう……。
一度足を止めたけど、桜井君と同じ名前の子のことかもしれないし、また急いで階段を上った。