チョコレート×キャンディ


「失礼しまーす……」


少し開きにくいドアから顔を出すと、もうとっくに皆来ていた。


「1年生は……悪いけど1番最後の列ね。空いてるところに座って」


「は、はい……」


先生にそう言われて、真ん中の席に座った。


桜井君は……まだ来てないみたい。



「……ねぇねぇ!」


右隣から聞き覚えのある声がして、顔を向けた。



……あ。



長い睫毛。

サラサラな髪。

大きな瞳。




……白川さんだ。



隣の列に座っていた白川さんは、私のほうに体を向けてくる。

キラキラ光った瞳は、真っ直ぐこっちだけを見てる。


「草太と同じクラスだよね? 何さん?」


首を傾げながら、私の名前を聞いてくる白川さん。



白川さんは、桜井君のこと呼び捨てしてる……。


小学校同じなのかな?

仲良いのかな?



「え、えっと……新垣、里美」


私はその思いを無理矢理忘れさせて、少し小声になりながら答えた。







< 37 / 99 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop