チョコレート×キャンディ
「失礼しまーす……」
少し開きにくいドアから顔を出すと、もうとっくに皆来ていた。
「1年生は……悪いけど1番最後の列ね。空いてるところに座って」
「は、はい……」
先生にそう言われて、真ん中の席に座った。
桜井君は……まだ来てないみたい。
「……ねぇねぇ!」
右隣から聞き覚えのある声がして、顔を向けた。
……あ。
長い睫毛。
サラサラな髪。
大きな瞳。
……白川さんだ。
隣の列に座っていた白川さんは、私のほうに体を向けてくる。
キラキラ光った瞳は、真っ直ぐこっちだけを見てる。
「草太と同じクラスだよね? 何さん?」
首を傾げながら、私の名前を聞いてくる白川さん。
白川さんは、桜井君のこと呼び捨てしてる……。
小学校同じなのかな?
仲良いのかな?
「え、えっと……新垣、里美」
私はその思いを無理矢理忘れさせて、少し小声になりながら答えた。