チョコレート×キャンディ
「部活見学、今からでも間に合うってさ!」


桜井君はニカッと笑って、私にそう告げた。


……え?


「いってらっしゃい〜」


突然言われてわけがわからない私の背中を、桜井君はふざけたように、私の数段上に上がってポンと押した。

力が抜けきっている私には、そんな少しの衝撃でも4、5段下っていけた。

その力を借りて、私は最後まで下りきる。


「あ、あのっ」


桜井君のほうを振り向くと、少し裏返った声で呼んだ。



「どこ行くの? そ、そっちの方向……」


質問が全然固まってなくて、語尾があやふやになって震える。


桜井君は一瞬キョトンとすると、すぐに口元に笑みを浮かべる。

桜井君はクルッとまた階段上ろうとしながら、こっちへ振り返った。


「先生んとこ行って帰る!」


私の言葉の意味がわかったみたいで、そう言うと桜井君はさっきいた教室と別方向へ向かっていった。









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