チョコレート×キャンディ
_後ろ姿
「え〜!? それってホント!?」
「うん……」
桜井君からまだ部活やれると聞いて、すぐにテニスコートに来た。
まだ部員の人が残っていたけど、着替える場所に迷っていて、もうほとんど終わりごろだった。
テニスラケットを持って、フェンスに背中をつける。
横で同じように立つ千香ちゃんに、桜井君のこと――
じゃなくて、夏休みの委員期間を話した。
「長くない!? 遊べないじゃん!」
千香ちゃんの言葉通り、委員期間はプールが夏休みに使われなくなるまで。
水泳の補習期間と水泳部の活動の日全部を、3学年でローテーション。
2、3年生は大会があるから、自然と1年生のほうが日数が多くなってしまった。
「すっごく暑いし、プール入れないし……災難だよ」
でも元々は自分が悪いしね……。
あのとき、桜井君に理由を聞いてなかったらな……。
清掃なんてしなくてよかったし、
桜井君の……あの顔を、あの声を、聞かなくてもよかったのに――。