チョコレート×キャンディ
「まぁ落ち込むなって! 新人戦出られるかもわかんないしっ」
夏休みにある予定の新人戦。
テニス部は入部希望者が多くて、ちょっと見ただけだけど、上手い子も多い。
まだ入る前だけど、自信がなくなってくる。
こんなマイナス思考、ダメだな……。
「そうだよねっ。それに、同じ委員の人も良い人だし……」
とにかく心配してくれた千香ちゃんに、引きつったような笑顔を作る。
「草太君や石田君とか良すぎじゃん! あたしも話に加わればよかったかも……」
千香ちゃんは眉を下げて、アヒル口。
そして可愛い変顔をつくってくる。
「アハハッ」
自然とでた笑いに、また笑顔が戻ってきた。
トントンッ
後ろから肩を叩かれたようで振り返ってみると、テニス部のジャージを着た先輩がいた。
「ねぇ、体育でタイム計ったクラスだよね?」
ふわふわなショートカットの先輩は、首を傾げて聞いてくる。
今日の授業のことだよね……?
あたしはキョトンとしながら、はい、とゆっくり頷いた。