チョコレート×キャンディ
「ありがとうな、助かったぞ! 気をつけて帰れな」
「さようなら……」
部活終わり、私は塚本先生に出くわしてしまって、書類を運ぶ仕事を頼まれてしまった。
頼まれたことは断れない悪い癖。
もう下校時間をとっくに過ぎて、誰も周りにはいない。
千香ちゃんも家の用事で帰っちゃった。
校門も、人一人通れるかくらいの隙間しか開いてない。
その青い門に向かって、真っすぐ歩いていく。
――あれ
「桜井君……?」
目の前には、校門の外でもたれ掛かっている、背の高い男子。
その後ろ姿や髪型が、妙に桜井君に似ていた。
……気のせいか。
今日いろいろあったから、そう見えてるだけだよね。
第一、もう桜井君は帰ってるんだし。
私は少し残念な気持ちになりながらも、その後ろ姿に引き込まれるように近づいていった。