チョコレート×キャンディ
ガン
「いたっ」
いきなりの痛さに、思わず声が裏返る。
おでこを門にぶつけちゃったみたいで、ヒリヒリジンジンする。
「ちょ、大丈夫!?」
その声を聞いて顔を上げると、真っすぐな瞳が私の一点を見つめていた。
「桜井君!」
「今すごい音聞こえたけど!」
すごく驚いた様子の桜井君。
それよりも、表情には出さないけど私のほうがビックリしている。
まずは私の頭に置かれた手。
心地良いけど、男子にこうされたことないから、かなりドキドキしている。
ぶつかったとき、反射的に肩まで上げた両手を、ぎこちなく下ろした。
桜井君の手が頭から離れる。
門の下ににチョコンと乗っていた桜井君は、いつもより高い位置で、校門から顔を出している。
校門の向こう側からわざわざ伸ばされてた腕に、些細な優しさを感じた。