チョコレート×キャンディ
「今日の委員会でさ、欠席するときの連絡担当、先生に任されちゃって」
桜井君はガサゴソとバッグの中をあさり始める。
中から出てきたのは、青いケータイだった。
「他の3人は知ってるけど、里美ちゃんは知らないからさ」
桜井君の言葉を聞いて、私は慌ててケータイをだした。
まだ買ったばっかりで、あまりよくわからない私の代わりに、桜井君が赤外線とかをしてくれた。
「はい」
たった一言ですぐ返されたケータイは、ほんのりと熱を帯びていた。
「明日聞こうと思ったけど、なんか忘れちゃいそうで」
桜井君はポケットにケータイを突っ込んで苦笑する。
……わざわざ、待っててくれたのかな?
「あの、ありがとう!」
「ん?」
素っとんきょうな表情で、桜井君は私を見る。
なんだかこの空間が、恥ずかしくなってきた。