チョコレート×キャンディ
「カナリア宅配便ですが、お母さんはいらっしゃいますか?」


「い、いえ! 今出ています……」


「では代わりに印鑑をお願いします」


「わかりました!」



元気のいい宅配便さんの声とは真逆に、私は戸惑っていた。


リビングの電話の下にある棚を開けて、黒い印鑑を出す。

宅配便さんが差し出した紙にポンと押すと、笑顔でお礼を言いながら帰っていった。



「なんだろこれ……?」


少し重みのある段ボールを、さっきまでおかゆを食べていたテーブルに乗せる。



そういえば、広島のおばあちゃんからカニが送られてくるって言ってたな……。


こんな時期に……。



でも段ボールを見ると、[割れ物注意!]の貼り紙。

たぶんお母さんがハガキを送りまくってた、懸賞のマグカップでも当たったんだろう。



――ってことは、まだ他にも宅配が来るってことだよね?



私は急いで自分の部屋に戻り、いつ来られてもいいように普段着に着替えた。











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