チョコレート×キャンディ
「桜井君!?」


「体調平気? 出かける前だった?」



ちょっとだけ顔を歪める彼は、家の門の外にいた。

さっきの宅配の人のときはすぐに門を開けたけど、門に寄り掛かってる桜井君に遠慮して、開けはしなかった。


代わりに私がドアを閉めて、桜井君の前に行く。



「なんで……」



ただその単語だけ口にした私を見て、桜井君は右手を上げた。



「ん。今日の返却物とか、宿題とか届けにきた」



グイっと門を越えて伸ばされた手には、たしかにノートとかが入ったビニール袋があった。



「ホントは千香ちゃんが行く予定だったんだけどさ、なんか今日塾に直行らしいから。あとこのノートのコピーも千香ちゃんからね」



桜井君の手から、また白い紙達が渡される。

私はそれを、ビニール袋の中に入れた。


その手があったか!と言うように、桜井君はまた悩むような顔つきになる。

本当によく変わる表情は、退屈していたのは忘れられた。











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