チョコレート×キャンディ
「あ! 俺からはリンゴね。冷蔵庫にあったからさ……。まあ、寄り道しただけなんだけど」
思い出したかのように、言った桜井君は恥ずかしそうに頭を掻く。
桜井君の手から直接、丸裸のリンゴが渡された。
ひんやりとしていて気持ち良い。
桜井君の言う通り、本当に冷蔵庫から出してきたようだった。
「リンゴはお母さんにでも切ってもらってよ! 俺料理苦手だし」
「そこまでお世話にならないよ!」
急に声を荒げた私に、桜井君はすごくビックリしていた。
私もなんでこんなに声が大きくなったかわからなかった。
――自分でもできるって思われたかったの?
――桜井君に切ってもらえると思ったの?
考えれば考えるほど恥ずかしくて、体が熱くなった。
「ご、ごめん……」
「いや、俺のほうこそごめん」
申し訳なさそうに俯いてる桜井君に謝る。
桜井君が悪い訳じゃないのに。