チョコレート×キャンディ
痺れを切らしたような顔で私を見ている。


なんか怖いなぁ……。




「里美、委員が鍵持ってくるんだよ!」


慌てたように言う千香ちゃん。

それを聞いて、廊下にいた皆は一斉に口を開いた。



「そーじゃんか!」

「じゃ、新垣さんだよねぇ?」

「聞いてねーの!?」

「早くしてよー!」




一気に不満顔を見せられて混乱する。

皆私を睨みつけるように見て、無言の圧力をかけてくる。



「い、行ってきます……」



慌てて階段を降りて、鍵が置いてある職員室に向かう。



完全に皆怒ってる。

早くしなきゃ!



先生が次々と前から来るから、走ろうにも走れない。

渡り廊下を早足で歩いていると、前から悠々と向かってくる桜井君がいた。

珍しく不機嫌みたいな顔色に、私はそっと立ち止まった。



「あ、里美ちゃん。鍵、先生が持ってったって」


「そ、そうなの!?」


右の肩紐を掴んでいる桜井君は、そのまま教室を向かっていく。

私はそれを追いかけた。









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