チョコレート×キャンディ
桜井君は一言も喋らず前を歩いていく。
いつもと違ってピリピリした雰囲気だ。
廊下にはまだガヤガヤとクラスの子達が並んでいた。
「あ、草太!」
小岩井君が桜井君に気づいたみたい。
それに続けて、皆さっきみたいに桜井君に気づきだす。
鍵を持ってない私達を見て、わけがわからないような、不満そうな顔になった。
「なぁ草太。鍵は?」
「先生が持ってったて」
「え、先生来てないよ!?」
「そこまで知らねーよ」
私に最初に話しかけてきた男子は落ち着いたようで、桜井君にまた聞きだす。
桜井君の返答に小岩井君が慌てると、呆れたように笑っていた。
「つかそんな教室入りたいわけ? あ、一限家庭科だったか」
皆からの質問責めに怒ったように呟かれる。
シンとなると、小岩井君が焦ったように、壁にもたれている桜井君に話しかけた。