チョコレート×キャンディ
「草太、なんかすごく息切れてない……?」



言われてみると、たしかに桜井君はさっきからハァハァと肩を上下させてる。

それに暑いのか、最初着ていた学ランが脱がれて今は白シャツだ。



「あぁ……今日走ったんだよなぁ。遅刻したと思って」


シャツの袖で口元を拭いた桜井君の姿は、なんか可愛かった。

まぁ、女子もそれに魅入ってたから私だけじゃないと思うけど……。



「遅刻? めっちゃ間に合ってるじゃん」


「そうなんだよー。俺の勘違いで……なんだよもー!」


小岩井君の言葉に勢いよくしゃがみ込んだ桜井君は、スっと顔を隠す。



そんなときに先生が鍵を持ってきた。



「どうした桜井? 体調でも悪いのか〜?」


いつものようにのんびりとした口調の先生は、ノシノシと歩いてきながら顔をしかめる。

実際は違うけど今この状況だけ見たら、具合が悪くて座り込んでいると思うだろう。










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