チョコレート×キャンディ
「あ、いや。大丈夫です」


さっきと打って変わって、シャンと立った桜井君。


あ、眼鏡。

黒いケースから眼鏡を出したのを見て、さっきまでかけてなかったのに気づいた。


眼鏡あるのとないの、あんまり変わんないな……。



一人でそう思っていると、ガラッと先生がドアを開けた。


やっと開いた歓声よりため息のが多くて、皆疲れたようにドンッと机にバッグを置く。



ドンッ



私じゃなくて、隣からきた大きな振動。

桜井君はバッグを机に置いて、でもそのまま肩に掛けたままだった。


そんなに急いでたんだ……。

たしかに、階段で見たときすごい速かったしな。



「皆ごめんな〜。先生、ついつい柴崎先生と話し込んじゃってなぁ」


あまり悪びれてない様子の先生に、皆は睨むような視線を向ける。

先生はそれがおもしろいのか、まだニコニコ笑っていた。









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