チョコレート×キャンディ
「……俺、あの人苦手」


「え、どっちが?」


言葉に反射して、思わず聞いてしまった。

さっさと教科書などを机に入れている桜井君は、そんな私を見て目を見開いている。



「ん〜、微妙」


桜井君は一瞬しまったという顔をして、また下を向いた。


なんか申し訳ないような、そんな変な気分になる。




朝の会がすぐ済むと、皆足早に教室を出て行った。

私もいつものように、千香ちゃんと一緒に調理室に向かう。


ドアを開けると、白いエプロンを着た先生と、ガヤガヤと着替え始める皆がいた。



「あ、里美! あたしらあそこだって!」


黒板をチラッと見た千香ちゃんは、窓際の真ん中の調理台を指差す。

そこに着くと、そそくさとエプロンに着替えた。

一昨日も使ったピンクいエプロンには、まだリンゴの香りが残ってる気がした。










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