チョコレート×キャンディ



時間が経つにつれ、次第にカレーの匂いがしてきた。

リンゴのみずみずしい匂いも一緒に。



「桜井君! 何してるの!?」


「え、だって入れたほうが美味しくなるし……」



先生の声で振り向くと、桜井君はカレーの鍋を混ぜながら、片手で牛乳を入れていた。

皆そこに注目して、ザワザワと笑い始める。


「つか草太、牛乳なんであるんだよ!?」


「持参持参〜♪」



他の男子の言葉に機嫌良く答える桜井君。

鍋を勢いよく混ぜると、先生は呆れたようにため息をついた。


「いや先生! カレーに牛乳入れるとすっごい美味しいんですよ!」


「でもこれは不要物ですよ」


「でもホントに!」


ため息に気づいたのか、反抗してみる桜井君。

でも先生の冷静な態度に惨敗して、結局牛乳は取り上げられてしまって。


先生も怒って……と思ったら、ひそかにカレーに入れて笑っていた。









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