チョコレート×キャンディ
「は、はい……」
先生から渡された、プレートに乗ったカレーはズシッと重かった。
お皿の下には、<柴崎先生へ>と書かれてる紙が挟んである。
ここから職員室まで遠いなぁ。
教室に戻るころにはもう、授業始まってるかな……。
「やっぱ遅れるとマズイか?」
「マズイと思う……」
「……カレー、美味かった?」
「うん、美味しかったよ」
「牛乳の力だよねっ」
確かに、牛乳入りのカレーは想像以上に美味しかった。
――っていうか私、誰と喋ってるんだろう?
「……桜井君?」
私の右隣には、思った通り桜井君がいた。
同じようにカレーを持って、違和感なく歩いている。
「ん?」
少し遅めの返事ともに、桜井君はこっちへ振り向く。
その笑顔は、いつもよりキラキラ光って見えた。
きっとこれが少女漫画とかだったら、桜井君の後ろに花が舞ってるよ……。
いや、もう既にいろいろ見えてる。
――熱まだあるのかな?