チョコレート×キャンディ
「どうした? あ、先生誰かわかんない? 一応まだ入学ばっかだしな〜」
階段を上がり始めると、別のクラスの人とすれ違った。
きっともうすぐ授業が始まるんだろう。
「う、ううん! あ……風邪ひいたことないって、本当?」
「本当だよ!」
クワッという効果音つきでまた振り向いた桜井君の目は、ムキになったように見開いている。
あのあと、皆に同じように聞かれたのかな?
「なんで皆風邪とかひくの? そんなこと滅多にないじゃん」
「桜井君は一回もないんじゃないの?」
「そうだけどさ……。風邪って病気でしょ!? ヤバイもんじゃないの!?」
急に慌てて顔を歪めた桜井君。
風邪の経験ない人って、皆こんな感じなのかな……?
「た、確かに病気に入るけど、薬飲んだら治るよ? まぁインフルエンザは苦しいらしいけど……」
「インフルエンザァ!? それ末期だよ!」
どんどん声を荒げる桜井君。
インフルエンザにはなったことないけど、もちろん末期なんて思ってない。