チョコレート×キャンディ
「あ、里美ちゃん大丈夫? 倒れなかった?」


「倒れてなんかっ」

「じゃ、セーフだね!」


子供みたいにニコッと笑う。

笑われる。


――あ、今気づいた。


私さっきからからかわれてたんだ。

職員室に来る前から。

私が一番最初に聞いたときから。

あの驚いた顔も、プレートを持ってくれそうになった優しさも。

全部冗談だ。


「いやー職員室の次は保健室かって思ったよ、真面目に」


またニコニコと、背伸びをしながら意地悪そうに言われる。


日差しが強いのか、渡り廊下に出た桜井君は、日光にぴったりと当てられている。

もうほとんど散ってしまって、緑色が多い桜木の影が、桜井君の足元を染める。

その風景は綺麗で、だけどなんだか切なくて。

3時間目が始まるチャイムで、また沈黙をしていたことに気がついた。









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