チョコレート×キャンディ
はにかみを数えて

_わざとらしさ


「……柴崎先生の前とは大違い」


「へっ?」


俯いたまま、ぽつんと呟いた独り言。

桜井君に聞こえてたみたいだ。

しかも憎まれ口。


振り返った桜井君は、寒いのか左の手をポケットの中に入れている。


マズイこと言っちゃったかな。

でも明らかに他の先生とは態度が違ったし。



「あぁ……。あの人、陸上部の顧問なんだよ。かなり厳しいし」


その一言で、だいたいのことはわかった気がした。


桜井君は陸上の部活見学してたから、柴崎先生と話したりしてて。

私も、テニス部の先生が厳しかったから、異常にキチッとしたりしてた。

だって怒られたくないし、注意もされたくない。


――なにより面倒事は避けたいっという考えだ。



言いにくかったのか、眩しいのか、不機嫌そうに目を細めている桜井君。








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