チョコレート×キャンディ
「……プリント配ったほうが早いか?」
「いやもう言って!」
痺れを切らした皆が、直前に止めた先生を責め始める。
私も同じ気持ちだった。
「じゃあ言ってくぞー。男子から、青竹サッカー」
「っし!」
「今沢野球部ー」
「よかったー!」
先生が言い終わると同時に、決まった人たちの喜ぶ声。
それが広がって、どんどん騒がしくなっていった。
「お前らうるさいぞー! 小岩井はテニス部ー」
「やった!」
あ、小岩井君テニスだったんだ。
「桜井はー……ん?」
先生はプリントを凝視したあと、キョロキョロし始めた。
「ん〜?」
先生は下をのぞき見たりを繰り返す。
「ん〜?」
今聞こえた先生そっくりの声は、悩まなくても桜井君で。
あの声から先生の声を出せるのは驚いたけど。