チョコレート×キャンディ
騒ぎが収まって先生がまた話しだすと、桜井君は静かに座った。
それから前と同じ、顎を手で支える姿勢のまま、時々退屈そうに、時々楽しそうに皆を眺めていた。
「次は女子な。相川テニスー」
「キャー! やった!」
千香ちゃんは私の前で、大きくガッツポーズをキメる。
「新垣は――新垣もテニスか」
「えっ!?」
嘘……よかった。
ホントによかった!
私が声を上げると、先生は不思議そうに私を見た。
「なんだ新垣。希望違ったか?」
先生は怪訝そうな顔でプリントを凝視し始める。
「い、いや大丈夫ですっ」
「そうか。じゃ次はー」
ちょっと裏返った声を出して俯くと、先生はまた部活を読みだす。
「よかったね里美! 一緒だよ〜」
千香ちゃんは私が居る後ろを向いて、笑顔で言ってくる。
嬉しすぎて、手を握り合う。