フリージアとアスチルベ



「...、那瑠?」

「え、あ、理湖...」

「SHR終わったよ?
次体育なんだから急がないと。」


理湖はもう荷物をもって準備している。


「ごめん、行こっか。」


重たい体を動かして立ち上がる。
はあ、体育めんどくさいな。


深く考えてしまう癖はどうにか直したい。
頭を使うのは得意な方じゃないのに。


「那瑠、大丈夫?」

「...え。」

「顔色あんまり悪くないよ?
体育、見学する?」


大きな瞳を怪しげに動かしながら心配してくれる理湖を見て、ああいい友達と出会えたなって思える。


「...ありがとう。
でも、大丈夫だから。体育はやるよ!」


語尾に力を込めてやる気があるように見せる。
1時間目から見学なんてやる気ないみたいで嫌だし。


「そっか。
体調悪くなったらすぐ教えてね?」

「はーい。」


ジャージに着替えてグラウンドに出る。

春の風が心地よかった。


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