みんな、ときどきひとり
「そっか。予備校はどう?」
「あんま、ついていってない気もするけど。まあまあ楽しいかな」
言葉の通り、表情は生き生きしている。
「楽しいならいいじゃん。わたしも今日、予備校あるんだけど、だるいだけだよ」
「お前はどこ行くんだ?大学?」
「一応、K大かな」
「まじで。お前、意外に上目指してるな。って俺が馬鹿だからか」
「はは。亮太よりは真面目に生きてるからね」
「よく言うよ」と、どこがだよと言いたそうな目を向ける。
そのあと、小さな声で「でもK大受かったら県外だよな。寂しくなんな」と窓の景色を見ながら呟いた。