みんな、ときどきひとり
わたしが降りる3つ手前の駅で亮太は降りて行った。
同じクラスじゃないから毎日話せるわけじゃない。
短くても一日一回話せることがすごく嬉しくて。
電車の中で一人、さっき話した会話を頭の中で何度も何度も繰り返してた。
「寂しくなんな」と亮太の声が聞こえる。
本当にそうだ。
卒業したら、わたしはここを出ていくつもりでいる。
一人暮らしがしたくて、受験する大学は県外って決めたからだ。
でも、その為にはレベルの高い大学、しかも国公立じゃないと許して貰えなかった。
受かりたい。
だけど、そしたら亮太とはもう今みたいにたまにでも会えなくなるんだ。
その頃には亮太を忘れているのだろうか。
亮太がいなくても平気なのだろうか。
未来を想像しても形にならない。
薄い霧がかかってるみたいで、自分がその頃にどんな顔しているかなんて見えやしなかった。
ただ、寂しさだけが込み上げてくるから、さっきまでの明るい会話を何度も頭の中で繰り返した。
壊れて同じところを歌い続けるCDみたいに。
これだけで、亮太はわたしに笑顔をくれるから。
忘れたくないよ。
やっぱり。
優柔不断なわたしが顔をだした。