みんな、ときどきひとり




「ちょっと!なにそれ!デートじゃん。やるね」

翌日、学校で美和子と梨花に昨日あった出来事を報告したら美和子が大はしゃぎして抱き着いてきた。

「いや。でもデートじゃなくて、お詫びするだけだよ」

「2人で遊んだらデートだよ。てか、あのカラオケの人ちゃんと見たことないし、どんな人どんな人?」

横にいる梨花も大興奮。確かに男の子と出かけるなんてこと言ったことないけど、大袈裟じゃないのかな。

「どんな人って。うーん。なんか素っ気ない感じかな」

「クールなんだ。いいじゃん。いいじゃん」

クールというか人に興味なさそうな感じだけど。

「何組なんだっけ?」

「2組って言ってたかな」

美和子と梨花が顔を見合わせて笑った。

「見に行こう!」

しまったと後悔しても遅かった。嫌がるわたしを無理矢理引っ張っていく。

「ほら、優菜。早く歩きなよぉ」

「嫌だよ」

「いいじゃん。見せて見せて」

「もう。わたしは階段にいるから、2人は覗くだけにしてよ?」

諦めて1階の階段を折り返したところで、わたしは言った。

2人が変なことをしないように注意だけでもしておかないと、張り切ってなにをするかわからないし。
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