みんな、ときどきひとり

なに怒鳴ってるんだろう。

だけど、馬鹿にされたような気持ちになって、2人の会話を聞きたくなかったんだ。

そんなこと本当は、思ってないくせにって、思ってしまったから。

「なにやってるんですか?」

静まった空気を断ち切るかのように後ろから声がした。

振り返ると階段の下に水城くんが立っていた。

「な、なんでここにいるの?」

「なんでって。いつもここ通って教室行ってますけど」

片手には鞄がある。

「もしかして、今、学校来たの?」

「はぁ。低血圧なんで」

「それで遅刻したの?」

「はぁ」


その様子をじっと見つめる梨花と美和子に気がついたのか、すれ違い様に軽く会釈して教室へと向かって行った。
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