みんな、ときどきひとり

梨花は小さい顔に華奢な身体。

長いまつげに大きな黒目がちの目。

それに、胸だってある。

きっと、女の子が欲しい要素を全て持っている気がする。

私はというと、172センチという無駄に高い身長に、山のない胸。

つり目なせいか、「怒ってるの?」なんて言われがち。

なんとなく伸ばした髪は、胸元まであるけど、少し痛んでいて女の子らしさのカケラもない。

勝負あったな。





梨花が急に振り返ったかと思うと、折りたたんだ紙を見せて、わたしに向かって投げた。

机の天板に落ちて、慌てて手の平でおさえる。

先生は黒板に英文を写すのに夢中で気がついていない。

手紙だった。

『メールしたら、オッケーだって!行くしかないでしょ?土曜日でいいかな?あ、あとね、彼のこと好きになっちゃダメだからね!』

行くって、ちゃんと返事してないのに、訊いたんだ。

どうしようかと、考えて、

『うーん。行くか悩むよー。ていうか、梨花の好きな人はわたしのタイプじゃないから、ご安心を』と、手紙を書いて回して貰った。

しばらくして、

『なにそれ。ひどいっ。ていうか、いいじゃん!行こうよ!彼氏つくろうよ!』と、返事が来た。

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