みんな、ときどきひとり
梨花には絶対知られたくない。
亮太のことを好きだっていうこと。
嘘つきなわたしだから、嘘をつき通してわたしを守るしか術を知らないんだと思う。
だから、平気で人の目を見ながら言えるんだ、こういうこと。
友達なのに。
「うん、いなかったよ」
「そっか」と梨花は言って、美和子は「まあこれから何が起きるやら」と含み笑いをした。
そのまま一時間目の授業が始まったけど、全然集中力がなくて、ボーッと外の景色を見てしまう。
そして、ついつい亮太のことを考えてしまうんだ。
結局、わたしって今まで亮太がフリーでいてくれたからこんなに気持ちが不安定になることもなかったのかもしれない。
その間きっと心のどこかで、いつか好きになってくれるんじゃないのかなとか思っていたのかもしれない。
だから、ずっと友達でいられたのかもしれない。
そっか、諦めたふりをしてただけだったんだ。
自分の中のひとつの結論にたどり着いてみたものの、この結論からの未来をどう描いていけばいいのかわからなかった。