みんな、ときどきひとり

その瞬間、わたしの携帯の着信音が鳴り響いた。

「あっ、ごめん」と鞄の内側にあるポケットから携帯を取り出した。

二つ折りの携帯をパカッと開くと着信画面が表示された。非通知と。

「なにこれ。気持ち悪い。出たほういいかな？」

画面を水城くんに見せながら訊く。

「俺、出ますか？」と水城くんはわたしの携帯を手にとって、通話キーを押した。

「はい」と言ったあと、すぐ耳から携帯を離した。

「切れちゃいましたね」

「なんだろー？間違い電話かな？」

「非通知で、間違い電話も気持ち悪いですね。これって、今日が初めてですか？」

「うん。まあ、間違い電話か」と言って、携帯を閉じた。

彼は訝しげな顔をしたけど「それならいいんですけどね」と呟いた。

「ねっ。そろそろ帰ろうか」と言ってわたしは椅子から立ち上がった。

そう言えば、なんで亮太のこと好きだってわかったんだろう。そんなに、顔に出やすいのかな、わたし。

それからすぐに、下駄箱に落ちてたツーショット写真のせいだと気がついた。

少し恥ずかしくなった。