みんな、ときどきひとり
「なんでこんな暗いところにいるんですか?」
水城くんは呆れた様子で公園の入口に立っているわたしを見ている。
「あっ。えっと。散歩したくて、かな?」
「制服でチャレンジャーですね」
「やっぱり?」
こんな言い訳じゃ呆れられても仕方ない。
「一昨日くらいに、ここの公園に痴漢がでたらしいですよ。被害者は女子高生」
「えっ?本当に?」
「まだ捕まってないみたいですけど」
「知らなかった」
だから慌ててたのか。
「なにかあったんですか?」
その言葉に「うん」とは言えず俯いた。
「暇だったら、家来ます?何か、よだれかけのお礼言いたいとか姉ちゃん言ってました」
「えっ、でも」
「俺と違って社交的だから気にしないで下さい。家そこですし」
彼が指さした、向かいに立っている幸せそうなマンションを見上げた。