みんな、ときどきひとり
夜の住宅街はあまりにも静かすぎて、呼吸をしていないみたいだった。
水城くんは、家の前まで送ってくれた。
「今日は、いっぱいありがとう」
そうお礼を伝えると、いつものように素っ気ない返事をする。
「別になにもしてませんけど」
「心配してくれて、嬉しかった」
「先輩が付き合わせたんじゃないですか」
目を細めて呆れてる。
「違う。そこじゃないよ」と言うと、一瞥して、なにも言わなかった。
うん。そこじゃなくて。
息を切らして、公園まで来てくれたことが嬉しかったんだよ。
わたしを見つけてくれたことが、嬉しかったんだよ。