みんな、ときどきひとり
かたつむり
翌日、早退したわたしに梨花と美和子が「どうしたの?」って訊いてきたけど、亮太のことなんか言えるわけもないから「具合が悪かった」と言ってごまかした。
外は雨が降っていて、どんよりとしている。
そしてわたしの心は、今日もやっぱり晴れることはない。
放課後、3人で何か食べて帰ろうかという話になった。
美和子が提出するプリントを持って職員室に行ってる間、梨花と教室で待っていた。
「ねえ、昨日、本当に具合が悪かったの?」
梨花の突然の質問に一瞬、どきりとしてしまった。
「あっ、うん」
「ふうん。でもなんで水城くんと一緒に帰ってたの?」
「えっ?」
「昨日、授業始まる前に見えたんだ。2人が帰ってる姿」
「ああ、そうなんだ。たまたま会ったんだ、下駄箱で」
「昼休みだって、2人でどこか行ったよね。たまたま?」
気が動転しそうになった。昼休みのどこからわたしを見ていたんだろう。
亮太の隣で、泣きそうなわたしを見られたかもしれない。
「うん。たまたまだよ」
動揺を隠すように、強い口調で言い切った。