みんな、ときどきひとり
「ふうん。そっかぁ」
つまならそうに梨花は机の上に腰をかける。
「そういえばさ。亮ちゃん、彼女出来たんだってね」と、思い出したように言った。
わたしが〝もしかして〟と思っていたことが急に確信へと変わった。
しかも、それをなぜか梨花の口から聞かされている。
普段、亮太の話なんかしないのに、急にどうしたんだろう。
あまりの無防備に、雨を避けることを忘れた人みたいだった。打たれたまま立ちすくんでしまった。
「N女の子で、予備校だっけ?そこで出逢ったみたいなこと言ってたよね」
梨花は足を前後に揺らした。時間を持て余すみたいに、退屈そうに。
わたしが知っていて当たり前みたいに言うけど、そんな話聞いていない。
それを視界に捉えながら、どうにか意識をいつものわたしに切り替える。
「あっ、そうなんだ。知らなかった」
「本当に?そっか、優菜仲いいから知ってると思った」
梨花の言葉で胸が騒ぎ出した。