みんな、ときどきひとり
痛い。痛い、痛い、痛い。
亮太と梨花が付き合ったときに現れた黒い塊がまだ、胸の中にいるみたいだ。
それが、暴れて、勝手に騒いでいる。
嫌だ、出てくるな。
忘れるって言ったのに。なんで出てこようとするのだろう。
「全然恋愛の話とかしないし。ていうか、梨花、亮太と仲良くなってたんだね?」
「そうだね。電話とかしてたよ。恋愛相談とかされたりして」
冗談っぽく笑った。
恋愛相談。
それは、高1のときの亮太にとってのわたしのポジション。
悲しくても唯一、亮太に求められていると思えていたわたしの居場所だった。
わたしは、亮太が恋愛相談をわたしじゃなくて梨花にしたことが。
わたしは、亮太がわたしに彼女が出来たことを教えてくれなかったことが。
ちっぽけなわたしの心を深く傷つけていく。
友達でもその程度なんだ。
やっぱり、梨花には敵わないんだ。
惨めだ。
「そうなんだ。学校であんまり話さないから。意外に思っちゃった」
笑った口元が引き攣る。自分でもはっきりわかるから、これでもかっていうくらいに目を細めてみた。
「そうだね。なんか電話だとなんでも話せるけど。学校だと優菜と亮ちゃん仲良いからかな」